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 このページでは身土不二.comの砂金が書いた時事エッセイを紹介しています。

ペットボトル茶と急須茶(その1)

 緑茶ブームといわれていますが、それはペットボトルや缶入りの緑茶飲料ブームのことを指しています。ヘルシーな感覚で、若い人たちを始めとして幅広い層に好まれているようです。コンビニや自動販売機での購入が主流です。

 一方、町のお茶の専門店はというと、だんだん姿を消してきているように思います。「ブーム」の中でなぜなのでしょうか?

日常茶飯

 日本の家庭には、日常的にお茶を飲む習慣があります。「日常茶飯時」という言葉がそれをよく表しています。お茶と御飯は日本人の生活にとって欠かせない存在なのです。ちょっと一休みという時には、「お茶にでもしますか」といいます。町の飲食店に入っても、日本茶はタダで、ほとんど必ず出てきます。一方、それがコーヒーや紅茶となると料金をとられます。それを誰も不思議に思っていないのがまた不思議だったのです。

喫茶の感覚の不思議

 ところが、お金を出す感覚にない日本茶がペットボトルに入ったとたん、お金を出して飲む飲料の中でも、ダントツのトップの売上げだというのです。ところが不思議なことに、町の飲食店や喫茶店では、あいかわらず日本茶をお金をとって飲ませる店はほとんどありません。最近、煎茶喫茶がポツリポツリできていますが、一緒に出てくるお茶菓子の方が「主」でお茶のほうは「従」という色彩が強いように思います。また、ブームというには程遠い感じです。この両者の不思議な現象の陰には何が隠れているのでしょうか?

朱泥急須の味わい

 私は常滑焼急須の消費地卸商の息子として育ちました。まさにヨチヨチ歩きの時から畳の上に父が広げて置いてある急須を蹴飛ばさないように、器用に歩いていたようです。大切なものなのだということが幼心にも伝わってきたのでしょう。父は、常滑焼のほかにも、万古焼・有田焼・清水焼を扱っていましたが、主体はあくまでも常滑(とこなめ)焼でした。それも、朱泥急須です。使えば使うほど艶が出てきて、価値が出てくるという不思議な魅力のある焼き物です。有田焼や清水焼の塗り物もいいのですが、使えば使うほど味わいが出てくるという点で私自身も常滑焼の泥の魔術に魅せられていました。使いこみながら心を込めて磨くという作業の繰り返しの中で、光を増していくのです。

 よくお客様とお話している時に、「万古焼」と勘違いなさっている方がたまにいらっしゃるのですが、四日市の万古(ばんこ)焼の方は色が紫っぽいのです。

 次回につづきを書きます。

2001年03月10日(土)

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