身土不二

 トップページ >  時事エッセイ >  雪印の社会科的貢献度は抜群?

雪印の社会科的貢献度は抜群?

 雪印食品の不正偽装工作を列挙すると、

ようするになんでもありということだ。思いつく方法は全て出揃っている。

 こうして雪印乳業と雪印食品は、何を国民に教えてくれたのだろうか?

 1つ、雪印というトップブランド企業の傘下で、問題は発生していることから、ブランドイコール品質ではないことも教えてくれた。

 2つ、前回の雪印乳業の問題でHACCP認定工場という看板もそんなに当てにならないものなのだということを広めてくれた。食品の製造過程でハサップ(HACCP) とは,Hazard Analysis and Critical Control Pointsという英語の略語で,日本語では「危険度分析に基づく重点衛生管理」と訳されています 。

 3つ、消費者にとっての選択の目安だった筈の「シール表示の内容」もこれまた当てにならないものだということを教えてくれた。

 4つ、利潤追求が目的の株式会社という企業組織では、儲けが最優先でモラルなどは全く省みられないことが起こりうるということを教えてくれた。企業体質によっては、不正も必要悪といわんばかりに目的のためには手段を選ばずが大手を振って罷り通ることが明らかになった。今回の雪印食品事件では、加工処理会社の人間は雪印本社社員の命じるままに不正に加担したようだ。「おかしいとは思ったが・・・」という証言をしていたが、誰でも変だなと思えば、ちょっとは推測能力をはたらかせるだろうから、本当は薄々察しがついていた筈だ。でも、共犯になっても下請けとしては盾突くわけにはいかなかったわけだ。

 5つ、4のような空気が蔓延している企業では、良心的な人達のほうが人事の主流からはずされて冷や飯を食わされていることさえ、ありうることを教えてくれた。実際、報道によれば部下の反対を押し切ってやったとされている。でも結果的には、犯罪行為であるにもかかわらず、その部下も消費者のために身体を張ってまでは反対しなかったのだ。できなかったのかもしれないが・・・犯罪はやはり犯罪なのだ。

 6つ、マスコミは、事件への論評の書き方が雪印の特殊な問題のごとく描いている印象をうけるが、業界の氷山の一角ということはないのか、マスコミの取材姿勢にも大いに疑問あり。なぜなら、徐々に判明してきたところによると、狂牛病問題発生より以前から日常的に偽シールは貼りまくっていたようだから、当然ながら競争相手も不正に手をつけないとコスト面で太刀打ちできないわけだ。これだけ市場に大きな影響力のある企業ならば、対抗上ライバル企業たちも手を染めていたところがある筈と推察し、考えるのが常識ではないのか。マスコミによって、独自の取材や調査がおこなわれてもいいのではないか。広告収入で食べているマスコミはスポンサーにかかわる報道記事という関係で鈍っているのか?商業マスコミの多くは、スポンサーの関わる問題には腰のひけた発表ジャーナリズムの域から出ないように注意深くしていることを教えてくれた。

 7つ、マスコミもあまり頼りにならないならば、消費者が自ら生活者としていっそう賢くなるより他に是正の道はない、安さと便利さのみを歓迎し追い求めているようではダメなのだということを教えてくれた。

 8つ、最後に1から7までを通して判ったことは、シール任せでは身の安全は図れないという真理なのだ。良心に恥じない、真心や誠意のこもった行為の積み重ねのバトンリレーが不正によって汚されないためには、行政による監督責任はとても大きいのだが、監督責任ばかりを追及していても埒(らち)があくわけではない。結局大切なのは、人と人の信頼の鎖の輪の繋がりの連鎖なのだ。小さな農家や商店では、その主人の器・人柄・人格なのだ。大きな会社組織では、社長たる人間の器・人柄・人格だ。消費者はシール任せでにするのではなく、信用にたる人間かどうか、人間を見ぬく力をつけるべきなのだ。一人一人のポリシーやこだわりが大切なのは、そこに理由がある。

 雪印問題についていえば、雪印乳業の社長がエレベーターに乗り込みながら吐いた「眠ってないんだよ!」のあの一言で、今日の雪印食品の事件の発生・発覚は予想しなければならなかったのだ。あのような無神経な感覚の社長の指揮を受けている傘下の企業モラルとは、いかなるものなのかを。

 刑事告訴される事件を引き起こした正社員達の処分はどうなったのか不明なまま、パート労働者1000人の解雇があったそうだ。ウソ表示で消費者を愚弄し、BSE対策費の税金を詐取した次には弱い立場の労働者へのしわ寄せだ。どんな説明とどんな補償があったのだろうか?ほとんど報道がないのでわからない。

 以上、この事件を通してはっきりしてきた問題を列挙してみたのだが、つくづく雪印はスゴイ社会科の先生の役を果たしたなという感想をもったのだった。

2002年02月07日(木)

前のページ  ページの最初 トップページ 問い合わせ